WCA ガイドライン
バージョン:2021年5月1日
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wca-regulations-translations:68d19f4
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WCA 大会規則
WCA ガイドラインには WCA 大会規則の補足を載せています。WCA についてのより詳しい情報は WCA 規則を参照してください。
条項
ガイドラインは関連する規則の番号が振り分けられています。1 つの規則に関して複数のガイドラインがある場合や、すでに現存しない WCA 規則に関連するガイドラインも存在しているので注意してください。
ラベル
わかりやすくするため、各ガイドラインには下記のラベルのうちの 1 つがついています。データに関する情報であって、重要性を表すものではありません。
- 追記 規則を補うための追加の情報。
- 明示 規則の解釈に関して考えられうる質問に対する情報。
- 説明 規則の意図・趣旨を明確にするための説明。
- 推奨 義務ではないが、できる限り従うことが望ましい事項。
- 注意 他の大会規則やガイドラインに言及されているが、繰り返し強調する価値のある事項。
- 例 規則を適用する方法の例。
コンテンツ
- 第1条:大会役員
- 第2条:競技者
- 第3条:パズル
- 第4条:スクランブル
- 第5条:パズルの欠損
- 第7条:競技環境
- 第9条:競技種目
- 第10条:完成状態
- 第11条:インシデント
- 第12条:記号法
- 第A条:スピード競技
- 第B条:目隠し競技
- 第C条:片手競技
- 第E条:最少手数競技
- 第H条:複数目隠し競技
第1条:大会役員
- 1c+) 明示 大会を担当する WCA 代理人が複数いる場合、「WCA 代理人」とはこれらの代理人全員のことを指す。また、WCA 代理人によって特定の役割を委譲された他のメンバー全員のことも指す。
- 1c++) 明示 WCA 代理人は大会の WCA 代理人の役割を担当しなくても大会に参加することができる。その場合、「WCA 代理人」とは、その大会を担当する WCA 代理人によって特定の役割を委譲される場合を除き、大会を担当しない WCA 代理人のことを指さない(参照:ガイドライン 1c+)。
- 1h+) 推奨 同じグループ内の競技者は同じスクランブル手順を使うことが望ましい。グループ毎に異なるスクランブル手順を使うことが望ましい。
- 1h++) 推奨 各種目の決勝ラウンドの全ての試技、および 3x3x3 最少手数の全ての試技では、全競技者は同じスクランブル手順を与えられることが望ましい(すなわち、1 グループのみであること)。
- 1h1+) 明示 スクランブラまたはジャッジは大会運営の上で必要に迫られた場合のみ、同じグループの他の競技者のスクランブルまたはジャッジを行うことができる。
- 1h1++) 明示 3x3x3 最少手数では、ジャッジは自身が参加しているグループで自身の試技を終了する前に、競技者をジャッジすることができる(すなわち、ジャッジが競技中)。
第2条:競技者
- 2c+) 追記 大会に初めて参加する競技者は戸籍上の名前で登録しなければならない。WCA 代理人の裁量によって、妥当なニックネームで登録することもできる。
- 2c2+) 明示 WCA プロフィールとは競技者に関するデータのことで個人情報(名前、国籍、性別、生年月日)と WCA 公式大会でのすべての競技結果を含む。
- 2d+) 追記 生年月日と連絡先は特に安全に管理しなければならない。
- 2d++) 推奨 第三者(記者等)が大会運営チームに対し競技者との接触を求めてきた場合、まず競技者の承諾が必要となる。
- 2e+) 明示 競技者が多重国籍を有する場合、競技者は初めて参加する大会でどの国籍を所属国とするか選択することができる。
- 2e++) 追記 加えて、WCA 代理人は大会初参加者の名前と生年月日を文書(例:パスポート)を用いて確認することが望ましい。
- 2e3+) 明示 所属国のない競技者には、国別記録や国別ランキング、大陸記録や大陸ランキングが与えられない。
- 2i+) 追記 競技者は(目隠しをしてないときに限り)現在の経過タイムを確認するためにストップウォッチを手に取ることができるが、ストップウォッチをスタート、ストップ、一時停止、またはその他方法によりストップウォッチの時間計測に干渉してはならない。
- 2i++) 追記 大会運営チームは競技者に対し経過タイムを確認する用途の非公式のストップウォッチを提供することができる(このストップウォッチはメインのストップウォッチと同時にスタートされる)。この場合、競技者は公式のストップウォッチに触れることはできない。
- 2i+++) 注意 Bluetooth パズルは電子機器と見なされる。
- 2i1b+) 明示 適切に電源が切られているもしくは接続が切れているような機器も使用不可である。
- 2i1c+) 明示 電子的なハンドウォーマーは試技の前後にのみ使用することができる。非電子的なハンドウォーマーは試技中にも使用することができる。
- 2i2a+) 追記 カメラが映している映像が表示されていない時に限り、カメラの画面を競技者から見える向きにすることができる。
- 2j2+) 例 例えば、競技者が決勝を欠席したことにより出場資格を失っても、その競技者のそれより前のラウンドでの結果は無効にならない。
- 2k6+) 明示 競技者が大会に悪影響を及ぼすような場合(時間や大会リソースを無駄にする場合等)にのみ、WCA 代理人に裁量が与えられることが望ましい。競技者を、最善を尽くしたときの「悪い」結果により、失格にしないほうが望ましい。
- 2s+) 注意 特別措置が取られた場合は、大会レポートに記載しなくてはならない。
第3条:パズル
- 3a+) 明示 競技者は WCA 代理人の裁量により、常識の範囲内でどんな大きさのパズルも使うことができる。
- 3a++) 追記 基本的に競技者はスピード競技の 1 つのラウンドの一連の試技で、単一のパズルを使用することが望ましい。ジャッジや WCA 代理人の裁量により、試技の間にパズルを取り替えることができる。
- 3a+++) 明示 競技者は大会で使うために他の競技者から個人的にパズルを借りることができる。
- 3a1+) 明示 競技者は招集時に提出するパズルを用意できない場合(例:他の競技者が使っているパズルを使う予定で、そのときパズルを提出できない)に失格となることがある。
- 3d1b+) 明示 パターンを付ける面は全ての面である必要はなく、区別できない色の面のみでよい。同色パーツ間で互いに区別できるような特徴(手触りや不規則なパターン等)があってはならない。
- 3h+) 明示 パズルを磨いたり、潤滑したり、安定性を向上させる改造(例:磁石)したりすることによって、内部を改良することができる。
- 3h++) 例 改造の例は以下の通りである。新しい操作が可能になる、通常の操作が不可能になる、より多くのパーツや面が見えるようになる、パズルの裏側の色が見えるようになる、自動的に動くようになる、パズルの完成状態が多い、あるいは異なる完成状態を持つ。
- 3h2++) 明示 大量生産されている「ステッカーレス」パズルと明確に異なる「ステッカーレス」パズルは WCA 代理人の裁量によって許可される場合のみ使用できる。
- 3j+) 注意 過去に、浮き彫り加工や刻印の加工が施されたパーツの使用も許可されていたが、現在はこれらの使用は許可されない。
- 3j++) 明示 クロックでは、ピンは同じ側の別のピンと区別できてもよい。
- 3j2+) 明示 クロックでは、それぞれの側で 9 個の時計の面は似たパーツであると考える。
- 3k2+) 追記 WCA 代理人は、競技者が故意に非許容パズルを使用したと判断した場合、これらの例外を適用しないことが望ましい。
- 3k2b+) 明示 非許容パズルが 3x3x3 複数目隠しの試技中に発見された場合、非許容パズルを試技中に変更したり取り除いたりしてはならず、非許容パズルは未完成としてカウントしなければならない(試技が失格でない場合)。
- 3k2b++) 例 競技者が 10 個に挑戦して 8 個成功したとする。ここで 2 個の成功したパズルと 1 個の失敗したパズルが非許容パズルだと判断された場合、WCA 代理人の裁量により、結果は 10 個中 6 個成功したものとする(DNF にするのではなく)。
- 3l+) 追記 ロゴは際立った有利さ(例:不正行為に使われるような情報を暗号化している)がなく、色付きパーツを明確に認識できるようなものであれば、どんなデザインを用いてもよい。特殊なロゴは、WCA 代理人の裁量によってのみ使用を許可される。
- 3l++) 明示 過去に目隠し競技でロゴ入りパズルの使用が認められていた。現在はそのようなパズルの使用は認められていない。
- 3l1+) 明示 NxNxN パズルにおいて、センターパーツとは色付き部分を 1 箇所のみ持つパーツのことを表す。例えば、5x5x5 では各面に 9 個のセンターパーツがある。
第4条:スクランブル
- 4b1+) 注意 WCA 代理人はフィルタリングの目的で、スクランブル手順を新たに生成して置き換えることはしてはならない。例えば、大会用のスクランブル手順を見て、「公平を期すため」にもう一度スクランブル手順を生成することは許可されない。
- 4b2+) 明示 通常は、全ての公式スクランブル手順を大会中は開示せず、大会後に結果とともに開示することが望ましい。場合により(例:世界記録が出た場合)大会運営チームは特定のスクランブル手順をそのグループの終了後に開示するよう求めることができる。
- 4b2++) 追記 大会運営チームはスクランブラ、スクランブル手順、スクランブラされたパズル(スクランブル途中の状態でも)を競技者から視覚的に隔離されることを保証することが望ましい(参照:規則 A2c)。スクランブラがスクランブル手順を適用しているパズルを競技者が見えないように、例えば、スクランブラを壁を挟んで配置したり、十分に高い衝立(例:スクランブラが着席しているテーブルを厚紙で囲う)を設けたりする。
- 4b4+) 明示 時間枠内に開始された全ての試技は、通常のソルブの進行手続きに従う(すなわち、対応するスクランブル手順の時間枠が終了しても試技は中止されない)。
- 4d+) 明示 多くのパズルは標準配色を使用しているが、白を黒に置き換えているものもある。その場合、黒が一番暗い色になるため、白の置き換えとして扱ってはならない。
- 4d++) 追記 向きのランダム性に影響を与えるような試みがないときに限り、スクランブラから競技台へと運ばれる途中でパズルの向きが変わることは許容される(参照:規則 A2e1)。
- 4f+) 推奨 WCA 代理人は大会の前に、追加試技の分も含めた十分な量のスクランブル手順を用意することが望ましい。
- 4f++) 注意 WCA 代理人が大会中に追加でスクランブル手順を用意する場合、それらを保存しなければならない。
第5条:パズルの欠損
- 5b+) 追記 競技者はパズルの欠損を故意に引き起こしてはならない。ただし、既存のパズル欠損を修復する場合は除く(参照:規則 5b3b、規則 5b3c)。故意にパズル欠損を引き起こす例:センターキャップを取り外す、コーナーパーツをひねって回転させる、ステッカーを剥がす。
- 5b5+) 例 パーツが物理的に外れていて、パズルが完成状態とみなされる例。3x3x3 の 1 つのセンターキャップ、多分割キューブの 1 つのセンターパーツ、多分割キューブの内部パーツ。
- 5b5++) 例 パーツが物理的に外れていて、パズルが未完成(DNF)とみなされる例。3x3x3 の 2 つのセンターキャップ、多分割キューブの異なる色の 2 つのセンターパーツ、3x3x3 のエッジパーツ、4x4x4 のエッジパーツ(「ウィング」)、色の付いた 2 つのパーツ。
- 5b5+++) 例 パーツが物理的に外れていないが完全に配置されていなく、パズルが完成状態とみなされる例。5x5x5 キューブのセンターパーツが、その場でねじれている。
- 5b5++++) 例 パーツが物理的に外れていないが完全に配置されていなく、パズルが未完成(DNF)とみなされる例。3x3x3 キューブのエッジパーツがわずかに浮き上がっている。
- 5c+) 注意 パズルの欠損が起こっても、競技者に追加試技は与えられない。
第7条:競技環境
- 7f1a+) 明示 標準サイズのマットは、幅 30cm、奥行き 25cm 以上の大きさであることが望ましい。
- 7h2+) 追記 競技者待機場所で試技間に待機中の競技者が、試技中の競技者のパズルを見ることができないようになっていることが望ましい。
第9条:競技種目
- 9b+) 追記 ラウンドが複数回行われる種目では、第 1 ラウンド以外のラウンド(特に決勝ラウンド)は「Average of 5」または「Mean of 3」の形式で開催されることが望ましい(これらが可能な種目の場合)。
- 9b++) 追記 規則 9b に記載されていない種目も大会中に開催することができるが、非公式種目扱いとなり大会公式記録としては残されない。
- 9b3b+) 明示 「Mean of 3」の結果は「Best of 3」のラウンド(この結果は最も良い記録に基づく)の順位に影響を与えない。WCA は「Mean of 3」を大会のフォーマットからは外れたものとして扱う。
- 9f1+) 例 タイマーが 12.678 を表示している場合、記録は 12.67 となる(100 分の 1 秒の後ろの数字は全て切り捨てる)。記録入力係が公式記録として記録するときに適切な桁数に変換するのであれば、ジャッジは記録用紙に全ての桁を書いて(ペナルティーの計算のときにもその桁数を維持して)もよい。
- 9f4+) 説明 試技の結果が DNF となるのは、競技者が準備ができていることを示してから試技を開始し(参照:規則 A3b2)、かつ試技が失格となった場合のみである。
- 9f5+) 明示 試技の結果が DNS となるのは、競技者が試技を行う資格があったにもかかわらず試技を開始しなかった場合である(参照:規則 A3b2)。競技者が試技を行う資格がなかった場合(例:カットオフラウンド)、その試技は記録なしである。
- 9p2+) 明示 次ラウンド進出条件として使用できるのは,当該ラウンドの順位決定に用いられている単発記録または平均記録である。
- 9q+) 推奨 各種目、各ラウンドにおいて最低 2 人以上の競技者がいることが望ましい。
- 9t+) 説明 規則 9t1 と 規則 9t2 のため、ラウンドは 規則 9p1、規則 9m1、規則 9m2 または 規則 9m3 を遵守しない結果になることがあるが、これは当該のインシデントと関係のない第三者が不利益を被らないための措置である。
- 9t++) 追記 大会の開催中に結果の変更が発生した場合にも、このルールを適用しなければならない。この場合、WCA 代理人の裁量により、規則 9t1、規則 9t2 および 規則 9t3 にも従うことが望ましい。
- 9t3+) 例 ある種目の第一ラウンドで、競技者 A が平均 10.00 を、競技者 B が平均 10.05 を記録して、競技者 A は決勝ラウンドに進んだが B は進まなかったとする。しかし決勝ラウンド終了後に第一ラウンドの記録入力の誤りが発見され、競技者 B が実際には平均 9.95 を記録しており、A の代わりに決勝ラウンドに進むべきだったとわかった。この場合でも本来出場資格のなかった競技者 A の決勝ラウンドの結果は削除されない。
第10条:完成状態
- 10e1+) 明示 スクエア 1 では、パズルの形が変形する特性のため、規則 10f4 で定義されるパズルのずれの基準は、 規則 12c4 で定義されスクランブルプログラムで使用される回転記号の基準と異なる。
- 10f+) 説明 パズルのずれが許容される範囲は、パズルの完成状態(ペナルティが生じない状態)とその状態から 1 手動かした状態を自然に区別できるように定める。
- 10f4+) 明示 ソルブ終了後にずれの手数をカウントする際、(x, y) 表記での x と y は個別にカウントされる。例:(5, 1) は 1 手のずれであり、(5, 5) は 2 手のずれである。
- 10h1+) 追記 クロックの完成状態は、ピンやピンキャップの欠落に影響されない。
第11条:インシデント
- 11e+) 明示 インシデントの訴えが認められるか確かでないため、競技者は抗議中タイマーを止めず、必要に応じてその後試技を再開することを選ぶことができる。
- 11e++) 推奨 WCA 代理人は追加試技の理由を記録することが望ましい(例:記録用紙の裏に記録)。
- 11e1+) 注意 追加試技では公式スクランブルプログラムによって生成された未加工のスクランブル手順を使わなければならない(参照:規則 4f、規則 4f+)。
- 11e2+) 追記 追加試技がさらに追加試技となる場合、競技者は元の対応する通常試技を置き換えるための有効な追加試技を得るまで追加試技を繰り返すことが望ましい。
- 11e2++) 例 5 試技必要であり、2 番目の試技に対し追加試技が必要となったとする。競技者は 2 番目の試技を置き換えるための有効な追加試技を得るまで追加試技を繰り返すことが望ましい。その後、別の試技で追加試技が必要となった場合も、競技者は 2 番目の試技と同様の方法で追加試技の進行手続きすることが望ましい。
第12条:記号法
- 12a2+) 明示 例えば、Rw と 2Rw はどちらも正しい記法であり、3x3x3 キューブでは物理的に同じ操作である。1Rw はどの NxNxN キューブに対しても正しい記法ではない。3Rw は 2x2x2 キューブと 3x3x3 キューブに対しては正しい記法ではない(ただし、3Rw は 4x4x4 キューブやそれ以上の NxNxN キューブでは正しい記法である)。
第A条:スピード競技
- A1a2+) 追記 制限タイムが累積方式の場合、ジャッジは「DNF (1:02.27)」のように丸括弧を用いて DNF の横に元の記録も残す。
- A1a2++) 例 ラウンドの制限タイムが累積方式で 30 分であり、競技者の最初の 2 回の試技の結果が 6:00 と DNF (10:00) であった場合、 3 回目の試技の制限タイムは 30:00 - 6:00 - 10:00 = 14:00 となる。ただし、この事例では試技の最終的な結果のみで判断するということに注意すること。つまり、3 試技目の元記録が 13:59 でペナルティが無い場合、最終的な結果は 13:59 である(参照:規則 9f2)ため制限タイムを満たすが、3 試技目の結果が 13:59 + 2 = 14:01 であった場合は制限タイムを満たさない。
- A1a2+++) 追記 試技の結果が不明である場合(例:タイマーがリセットされた場合)、ジャッジは WCA 代理人に相談し、その試技の経過タイムを見積もる必要がある。この概算の経過タイムは制限タイムの計算に使用するが、個々の試技における公式記録の根拠として使用してはならない。
- A1a3+) 注意 大会運営チームと WCA 代理人は制限タイムが競技者の戦略に影響し(例:カットオフラウンドにおいてカットオフ基準を満たすように最初の 2 回の試技でなるべく早いタイムを出すようにする)、各ラウンド開始後に制限タイムを変えることは競技者に不公平が生じる場合があることを考慮しなければならない。
- A1a4+) 注意 誤って競技者の制限タイム超過が認められてしまった場合も、制限タイムは遡って適用されなければならない。また、ジャッジ、競技者、WCA 代理人はそのことを知らされることが望ましい(参照:規則 1g2)。ジャッジは常に現在進行中の試技の制限タイムを気に留めておかなければならない(累積方式の場合、その前の試技の時間によって異なる)。
- A2c1+) 注意 過去に、パズルを覆い隠すのに記録用紙を使いパズルの一部が見える状態となっていたことがある。これは現在は許可されない。
- A2d1+) 追記 試技の前にスクランブルの署名が欠けているとわかった場合には、再確認と署名のためにそのパズルを直ちにスクランブラへ戻すことが望ましい。
- A2d1++) 追記 スクランブルの署名が欠けていることだけが要因で失格としてはいけない。試技の開始後にスクランブルの署名が欠けているとわかった場合には、ジャッジは(試技が進行中の場合には)そのまま続けさせなければならず、WCA 代理人は結果を残すことを許可するのが望ましい。しかし(署名の欠落以外で)そのスクランブルが正しくないと疑われる理由がある場合には、WCA 代理人は追加試技と置き換えることができる。
- A2d1+++) 注意 WCA 代理人はスクランブルの署名の欠落がある複数の試技を認めることはできるが、スクランブルの署名の欠落がよく起こることのないように注意することが望ましい。
- A3c3+) 明示 ジャッジが誤ってタイマーをリセットしなかった場合、競技者はインスペクションタイムの前または途中にタイマーをリセットできる。しかし、タイマーをリセットすることはジャッジの責務である(参照:規則 A3b)。ジャッジがリセットしなかったタイマーで競技者が誤って試技を開始しようとした場合(すなわち、競技者がインスペクションし、手をタイマーに適当な時間置き、タイマーが通常のようにスタートしたと思い、パズルの操作に取り掛かった場合)、その試技は WCA 代理人の裁量により追加試技で置き換えられることが望ましい。
- A3c3++) 明示 競技者はインスペクション中にタイマーの挙動を確かめたり、タイマーをリスタートしたりしてはならない。なぜならば、インスペクションタイムは競技者がソルブを開始した時点で終了するからである(参照:規則 A4d)。競技者が最初にタイマーをスタートした後にタイマーを止めた場合、たとえインスペクションタイムが開始してから 15 秒間に行われたとしても、それはソルブを終了したとみなされる(参照:規則 A6)。
- A3c4+) 明示 パズル固定のために薄い板や紙を挿入する場合、ジャッジは競技者に代わってそれを取り除いてはならない。
- A3c4++) 明示 パズル固定のための薄い板や紙をインスペクションタイムの間に取り除かなかった場合(例:忘れた場合)、競技者はソルブ中にそれを取り除くことができる。
- A5b+) 明示 インスペクションタイムまたはソルブ中、競技者は体のどの部分もパズルに触れることができる。例外:3x3x3 片手(参照:規則 C1b)。
- A5b++) 明示 競技者のパズルの一部がポップした場合(参照:規則 5a)、競技者はそのパーツを回収したり場所を突き止めたりするように頼んではならず、ジャッジは他の者が手助けするのを防ぐ必要がある。競技者以外の誰かが競技者のためにポップしたパーツを拾った場合、ジャッジか競技者はその人物にパーツを競技台に置いてもらうように頼み、これ以上の手助けをしないように依頼することができる。
- A6b+) 説明 スタックマットタイマーの機能不良に対する措置として、恣意的に 0.06 秒と定めた。
- A6e+) 明示 タイマーを止めた後にパズルが競技者の膝に落ちた場合、パズルに触れたものとして扱う。
- A7c+) 追記 競技者が署名済みの結果が不完全であったり、解読できない場合には、考えられる中で最も悪い結果として解釈されることが望ましい(例:「1:05」は「1:05.99」、X が 1 か 7 と読める場合「25.X3」は「25.73」とみなされる)。スタックマットタイマーが「X:0Y.ss」を「X:Y.ss」と表示する場合、抜けている桁は 1 の位ではなく 10 の位であると捉えることが望ましい(例:「1:2.27」は「1:02.27」と考える)。あいまいな記録に署名をしたジャッジは、記録入力係の裁量で結果を明らかにするように要請されることがある。
- A7g+) 例 例えば、以下の事例では大会初参加者に追加試技を許可できる。緑ライト点灯未確認、不適切なタイマーのスタートまたはストップ、試技開始方法の未熟知によるインスペクションタイムの超過、その他計測手順上のタイムペナルティ。
- A7g++) 明示 大会初参加者に対する個々のペナルティは免除できない。完全な追加試技を与えなければならない。
- A7g+++) 推奨 WCA 代理人は同じ大会初参加者に対して 2 回以上の追加試技を認める場合はかなり慎重に裁量することが望ましい。2 回以上の追加試技を認める場合、それらは異なるインシデントに起因するものであることが望ましい。
第B条:目隠し競技
- B1+) 注意 手触りやマーキングなどによってパーツを識別できるパズルを使用してはならない(参照:規則 3k)。目隠し競技においてこれは特に気をつける必要がある。
- B1b+) 推奨 目隠しは大会で使用される前に WCA 代理人によって検査されることが望ましい。
- B2d+) 追記 基本的に、ジャッジの準備ができていることを示した後に競技者が最初にタイマーをスタートさせた瞬間がソルブ開始である(参照:規則 B2a)。競技者がタイマーが動作する状態にあるかどうかを確認したい場合は、競技者は毎回タイマーをスタートしたりリセットしたりする前にジャッジに質問し、確認をとらなければならない。ジャッジへの確認なしにタイマーをスタートしたりリセットしたりした場合の罰則:試技の失格(DNF)。
第C条:片手競技
第E条:最少手数競技
- E2a1+) 推奨 ジャッジは、提出された解法に試技を識別する情報が見つからない場合は、用紙の両面を確認することが望ましい。
- E2b+) 明示 競技者は終了時間より前に解法を提出することにより、早めに試技を終わらせることができる。
- E2b++) 追記 競技者は 3x3x3 最少手数の既に開始している試技に WCA 代理人の裁量により参加できる。この場合、途中参加した競技者の制限時間は残りの競技時間となる(すなわち、途中参加した競技者は他の競技者が 60 分の制限時間に達した時に試技を終了しなければならない)。例外:誰か 1 人でも競技者が既に試技を終了している場合(参照:ガイドライン E2b+)や途中参加を希望する競技者にスクランブルに関する情報が知られている危険性がある場合、競技者への途中参加を許可してはならない。
- E2c+) 明示 ジャッジは競技者に解法を書くための標準的な用紙を渡すことができるが、競技者は解法を別の用紙に書いて提出できる。(ただし、規則 E3a にあるように、その用紙はジャッジにより渡されたものでなければならない。)
- E2c1+) 説明 大会受付 ID とは、その大会に参加する競技者に割り当てられた、数字などの識別子である。大会によっては大会受付 ID を用いて記録用紙の経過を追跡し、記録を入力する。
- E2c1++) 追記 競技者が解法を書いた用紙に試技を識別する情報を制限時間前に書き忘れた場合、ジャッジの目の前で制限時間後にそれを追記することが許可される。その場合、競技者は解法を提出する際にジャッジに尋ねなければならず、即座にそのジャッジの直接の監視の下で試技を識別する情報を(その他の変更を加えることなく)書かなければならない。一度競技者が解法の提出を完了した場合(すなわち、解法が書かれた用紙をジャッジに手渡してジャッジが次の競技者の回収に移ることを競技者が認めた、解法が書かれた用紙をジャッジのテーブルに置いて立ち去った、など)、競技者はどのような情報も書き加えてはならない。競技者がジャッジに尋ねることなく制限時間の後に何かを記入した場合、その試技は失格(DNF)となる。
- E2c1+++) 説明 競技者は大会名、ラウンド、試技番号のすべてまたはいずれかを提出された用紙に記載する必要はない。しかし、提出した解法を大会運営チームが追跡するのを手助けするためにそうしてもよい。
- E2c1++++) 追記 ジャッジが(例えば、試技の採点中に)試技を識別する情報が無い解法に気付いた場合、ジャッジは DNS ではなく DNF にするために、これを書いた競技者を探すことが望ましい。ただし、この時点で、その競技者は試技を識別する情報を書くことが許されてはならないので、競技者は DNF の結果を受け入れなければならないことに注意すること。
- E2c2+) 例 あいまいでない 1 つの手順とみなされない例:複数の解法が書かれていてどれを意図する 1 つの解法とするか不明瞭なもの、あいまいな記号を含む解法(例:「B」と「R」に似ているが、どちらともつかない文字)、書かれた順番と異なる順番で操作することを星印や矢印によって示した解法(例:それ以外の手順と同じ行に書かれていないような「挿入」、正しい記法を用いて 1 つの手順として合併されていないような「pre-move」)、およそ読む順番通りの行の並びとして書かれていないような手順、あいまいでない 1 つの手順であると解釈できないような記号の配置。上記の例の例外:小さな誤字の修正(例:操作を塗りつぶしその上に明確に置き換えることを意味した操作を書くこと。また、他の操作の間にうまく入るように上付きや下付きで書かれた操作)。
- E2c2++) 注意 過去に最少手数で括弧表記(例:[r] や [u2])が許可されていた。現在は x、y、z にもとづく持ち替えのみ許可されている(参照:規則 12a4a)。
- E2c3+) 明示 ある操作が明確には塗りつぶされておらず、解法の一部なのかどうか明確でない場合は、ジャッジはそれをあいまいな手順とみなすことが望ましい(参照:規則 E2c2、ガイドライン E2c2+)。
- E2c4+) 明示 3x3x3 最少手数の解法において使用してはならない記号や記号の組み合わせの例: M, e, r, Y (大文字), T, U1, Ui, U3, U-, R++, R2', R'2, L'w, 1R, 2U, 2f, 2-3r, 1Rw, 3Rw, 2-3Rw, rw, Rr, *, →, ⮐, /, ., ?, [r], [r u], [F], <f>, [f]', [f]2, [x], (x), (L), 2(Rw), (U)2, (U)', (R U)', (R U R'), [R, U], [R: U].
- E2e+) 明示 競技者はスクランブル手順の任意の部分に由来する解法を作成してはならない。解法は逆スクランブル手順と重要な共通部分を持たないことが望ましい。
- E2e++) 例 結果を試技の失格(DNF)とするのが望ましい例:解法の開始部分が逆スクランブル手順と 4 手以上一致する場合。
- E3d+) 明示 競技者が使用するストップウォッチや時計は解法作成に役に立つ機能を有してはならない。
- E3d++) 明示 競技者が使用する自身のストップウォッチや時計を公式な経過タイムと考えないほうがよい。競技者はジャッジによる「ストップ」時に解法を提出しなければならない。
第H条:複数目隠し競技
- H1+) 追記 試技の途中で重複したスクランブルのパズルが見つかった場合は、WCA 代理人の裁量により、異なるスクランブルによってそのパズルを再スクランブルできる。
- H1b1+) 注意 3x3x3 複数目隠しにおいては例外的に、制限タイムに達しても試技は失格とならない(参照:規則 A1a4、規則 A1a5)。
- H1b1++) 追記 ジャッジは非公式に競技者に試技を続けるさせることができるが、その場合、大会規則に従って試技はまず一旦中止しジャッジを受けなければならない。
- H1d+) 例 例:競技者が 10 個のキューブに挑戦しタイムが 59:57 で終え 2 つのペナルティがあった場合、最終的な記録のタイムは 59:57 + 2 * 2 = 60:01 である(参照:規則 A1a5)。
- H1d++) 例 例:競技者が 10 個のキューブに挑戦しジャッジが 60 分で競技者を中断させ 2 つのペナルティがあった場合、最終的な記録のタイムは 60:00 + 2 * 2 = 60:04 である。